外国人警備員の在留資格と業務可否
― 雇えるのは誰か・してはいけない雇い方とは
外国人を警備員として配置できるかは、国籍ではなく在留資格・資格外活動許可・実際の業務内容で判断します。
警備業法上の欠格事由、不法就労防止、在留カード確認、新任教育まで実務を整理します。
警備会社が外国人を採用する場合も、警備業法上は国籍そのものによる一律の禁止はありません。 一方、入管法上の就労範囲は在留資格ごとに異なり、資格外活動許可の有無・内容も確認する必要があります。 採用時には「外国人だから可・不可」ではなく、個々の在留資格と実際に従事させる警備業務を照合することが重要です。
大前提:警備業法に「外国人不可」の条文はない
警備業法には「外国人は警備員になれない」という国籍による一律の欠格規定はありません。 警備業法第14条第1項は、18歳未満の者と同法第3条第1号から第7号までの欠格事由に該当する者を警備業務に従事させることを禁止していますが、 国籍そのものは欠格事由ではありません。
通常の施設警備・交通誘導等の警備員業務は、一般に在留資格「技術・人文知識・国際業務」で認められる専門的活動そのものには該当しないため、 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格だけを根拠として通常の警備員業務へ配置することはできません。
一方、永住者等の就労制限のない在留資格だけでなく、 「留学」「家族滞在」でも有効な資格外活動許可の範囲内で警備業務に従事できる場合があります。
在留資格別 業務可否一覧
主要な在留資格について、通常の警備員業務への従事可否を整理します。 「特定活動」のように指定された活動内容によって結論が変わる在留資格もあるため、名称だけで判断しないことが重要です。
| 在留資格 | 警備業務 | 就労制限 | 実務上のポイント |
|---|---|---|---|
| ✅ 就労活動に制限がない主な在留資格 | |||
| 永住者 | 就労可 | 就労制限なし | 在留期間は無期限。ただし在留カード自体には有効期限があります。 2026年6月14日以降に交付される新様式カードでは、永住者のカード有効期間も従来から変更されています。 |
| 日本人の配偶者等 | 就労可 | 就労制限なし | 日本人の配偶者のほか、日本人の子・特別養子等を含む在留資格。個々の在留期間・有効期限を確認 |
| 永住者の配偶者等 | 就労可 | 就労制限なし | 永住者等の配偶者等を対象とする在留資格。個々の在留期間・有効期限を確認 |
| 定住者 | 就労可 | 就労制限なし | 在留カードの「就労制限の有無」欄と在留期限を確認する |
| ⚠️ 許可内容等を確認すれば警備業務に従事できる場合がある在留資格 | |||
| 留学(資格外活動許可あり) | 条件付き可 | 原則週28時間以内 長期休業中は1日8時間以内 |
包括的な資格外活動許可が有効であれば、通常の警備業務も入管法令上一律禁止ではない。 複数の資格外活動がある場合はすべての活動時間の合計で上限を確認する。 包括許可では風俗営業等に係る活動は原則除外される |
| 家族滞在(資格外活動許可あり) | 条件付き可 | 原則週28時間以内 | 包括的な資格外活動許可の範囲内で通常の警備業務に従事できる場合がある。 複数就労先がある場合は全ての資格外活動時間の合計を確認する。 個別許可を受けている場合は資格外活動許可書の内容を確認する |
| 特定活動 | 個別確認 | 指定された活動による | 「特定活動」は内容が多岐にわたるため、在留カードだけでなく指定書を確認して判断する |
| ❌ その在留資格だけでは通常の警備業務に従事できない主な例 | |||
| 技術・人文知識・国際業務 | 原則不可 | 在留資格で認められた専門的活動に限る | 通常の施設警備・交通誘導等は同在留資格で認められる活動に通常該当しない。実際の職務内容で判断 |
| 特定技能1号・2号 | 対象外 | 対象分野・業務区分に限る | 2026年10月15日現在、警備業務は特定技能の対象分野・業務区分に含まれない |
| 技能実習 | 対象外 | 技能実習計画の範囲内 | 警備業務は技能実習の対象職種ではない |
| 短期滞在 | 原則就労不可 | 原則として報酬を受ける活動不可 | 観光・商用・親族訪問等を目的とする在留資格。通常の雇用による警備業務には従事できない |
2025年3月12日の衆議院厚生労働委員会でも、 法務省政府参考人が、資格外活動許可を受けた留学生が空港保安検査業務に従事することは 入管法令上可能である旨を答弁しています。
在留カード等読取アプリの利用は法律上の必須要件ではありませんが、厚生労働省・出入国在留管理庁が積極的な活用を案内しています。 偽変造対策として、読取アプリと在留カード等番号失効情報照会を併用することが有効です。
新様式では券面記載事項が一部変更されているため、 在留期間等を確認する際は最新バージョンの在留カード等読取アプリを使用してください。
警備業法上の欠格事由(第3条・第14条)
入管法上就労できる場合でも、警備員として働くには警備業法第14条第1項の制限を満たす必要があります。 これは日本人・外国人を問わず共通です。
復権した場合は、この第1号には該当しません。
刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない場合が対象です。
単なる病名・障害名だけで決めるのではなく、法令上の要件に沿って確認します。
また、18歳未満の者は警備員になれません(警備業法第14条第1項)。
雇用主の義務と罰則 ― 不法就労助長罪の最新動向
外国人を雇用する場合は、就労可能な在留資格・許可内容を確認するとともに、 外国人雇用状況の届出を適切に行う必要があります。
| 義務・規制 | 根拠法令 | 罰則・リスク |
|---|---|---|
| 外国人雇用状況の届出 雇入れ・離職時にハローワークへ届出 |
労働施策総合推進法第28条 | 30万円以下の罰金 特別永住者・外交・公用は除外 |
| 不法就労助長行為 就労できない外国人を働かせる等 |
入管法第73条の2 |
2027年3月31日まで:3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、またはその併科 厳罰化 2027年4月1日以降:5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、またはその併科 |
| 不法就労と知らなかった場合 | 入管法第73条の2 | 知らなかった場合でも、在留カード等を確認していないなど過失があると処罰を免れない場合があります。法人等への両罰規定もあります。 |
読取アプリや失効情報照会は偽変造・失効確認に有効ですが、 アプリを使用したことだけで無過失が保証されるわけではありません。 在留資格、就労制限、資格外活動許可、在留期限、実際の業務内容を総合して確認してください。
雇用保険被保険者とならない外国人は様式第3号で、雇入れ・離職ともに翌月末日までに届け出ます。
採用から現場配置までの実務フロー
外国人警備員を採用する場合の基本的な確認順序です。個々の在留資格・許可内容によって追加確認が必要になる場合があります。
在留資格の名称だけで判断せず、予定している警備業務へ従事できる在留資格かを確認します。 「留学」「家族滞在」は資格外活動許可、「特定活動」は指定書も確認します。
業務内容と在留資格を照合外国人本人から在留カードまたは旅券等の提示を受け、 在留資格、在留期間の満了日、就労制限、資格外活動許可等を確認します。 在留カード等読取アプリ・失効情報照会も積極的に活用します。 2026年6月14日以降の新様式・特定在留カードにも対応してください。
アプリは推奨。就労範囲の確認そのものが重要警備業法第14条第1項に基づき、18歳以上であることと、第3条第1号〜第7号の欠格事由に該当しないことを確認します。 営業所には、施行規則第66条第1項第2号に基づき、 本人から欠格事由に該当しない旨の誓約書の提出を受けた旨その他確認のために講じた措置を記載した書類を備えます。
警備員名簿・欠格事由確認記録を整備特別永住者・外交・公用を除き、外国人の雇入れ・離職時には外国人雇用状況の届出が必要です。 雇用保険被保険者は資格取得届・資格喪失届、 非被保険者は外国人雇用状況届出書(様式第3号)で届け出ます。
届出漏れ・虚偽届出は30万円以下の罰金
国籍を理由とする特別な教育時間の加算・免除はありません。
新たに警備業務へ従事させる警備員は、原則として施行規則第38条の区分に応じた新任教育を行います。
一般の新任警備員は基本教育・業務別教育を合わせて20時間以上ですが、
検定合格証明書・指導教育責任者資格者証・警備業務経験等により免除・短縮となる区分があります。
日本語能力だけを形式的に見るのではなく、法定教育・現場指示・緊急連絡を本人が理解できる方法を確保してください。
警備員教育を実施した場合は、施行規則第66条第1項第6号の教育実施記録を作成し、
当該年度終了後、その終了の日から2年間保存します。警備員名簿にも法定事項を記載します。
在留期間の定めがある者は在留期限を管理し、永住者についても在留カード自体の有効期限を確認します。
資格外活動許可で勤務する者は、本人から他の資格外活動の状況を確認し、許可された時間上限を超えないよう管理します。
外国人材を採用対象に加える際の4つの実務ポイント
外国人材の採用は、国籍による一律の特性を前提にするのではなく、 個人の資格・経験・語学力・勤務可能時間・適性を確認して行います。 適切な在留資格確認と受入れ体制を整えることで、採用対象を広げることができます。
実務チェックリスト
本ページは2026年10月15日時点の公的情報に基づいています。 在留資格・指定書・資格外活動許可の内容は個別に異なります。 特定技能の対象分野、資格外活動許可、不法就労助長罪の罰則等は変更される場合があるため、 実際の採用・配置時には最新の出入国在留管理庁、厚生労働省、警察庁等の公的情報をご確認ください。 本ページは一般的な情報提供を目的としており、個別案件の法的判断を保証するものではありません。
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