警備員を現場のカスハラから守る
― 2026年義務化で変わる就業規則の設計と実務対応
現場でのクレーム対応を警備員個人の判断に任せていませんか?
属人化をなくし、会社のルールで警備員を守るための就業規則改定と実務対応を解説します。
カスハラの法律上の定義と警備業での実態
改正法において、カスタマーハラスメント(カスハラ)は以下の3つの要素すべてを満たす行為と定義されています。
- ① 顧客・取引先・施設利用者その他の利害関係者が行う
- ② 社会通念上許容される範囲を超えた言動により
- ③ 労働者の就業環境を害すること
警備業では特に、誘導方法への異議、通行制限への反発、施設利用者との口論などが問題になりやすい場面ですが、相手の言い方や態度によって対応は大きく分かれます。現場でよく発生するカスハラの類型は以下の通りです。
- 通行誘導への執拗な反論・怒鳴り声・罵倒
- 「責任者を出せ」「名前を教えろ」の繰り返しによる業務妨害
- 土下座の強要や謝罪文の要求
- スマートフォンによる無断撮影・録音、SNSへの投稿脅迫
- 施設利用者による長時間の居座り・不退去
なぜ今、就業規則への明文化が必要か(4つのリスク)
「現場でのクレーム対応は警備員個人の判断に任せている」。この状態が続くと、警備員は孤立無援で苦情に向き合うことになります。就業規則へのカスハラ規定の明文化は、警備員を守ると同時に、会社自身を以下のリスクから守る施策です。
2026年10月1日からの雇用管理上の措置義務に違反した場合、報告徴求・指導・勧告の対象となり、悪質な場合は企業名公表のリスクがあります。
対策を怠り警備員が被害を受け続けた場合、労働契約法第5条の安全配慮義務違反として、従業員から会社へ損害賠償請求されるリスクが生じます。
厚労省調査ではカスハラ相談があった企業は増加傾向。現場の精神的負担を放置することは、警備員の離職や採用活動の悪化に直結します。
ルールがなければ対応は警備員個人の判断任せになります。現場ごとの対応のブレが、かえってクレームやトラブルを長引かせる原因になります。
就業規則化の3つのポイントと規定例
厚生労働省の指針および改正法の趣旨を踏まえると、中小規模の警備会社が就業規則(またはハラスメント防止規程)に盛り込むべき内容は次の3点に集約されます。
② 報告・引き継ぎルール:警備員が1人で対応を完結させず、即時報告や警察通報する権限を明記。
③ 従業員保護と不利益取扱禁止:相談した警備員への不利益取扱いの禁止とプライバシー保護。
実務でそのまま活用いただける就業規則(ハラスメント防止規程)の条文例を以下に示します。
1. 会社は、顧客、取引先、施設利用者その他の第三者(以下「顧客等」という。)からの要求のうち、当該要求の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、従業員の就業環境が害されるもの(以下「カスタマーハラスメント」という。)を容認しない。
2. 従業員は、カスタマーハラスメントに該当すると疑われる事象に直面した場合、自己判断で対応を完結させず、速やかに所属長または管制本部へ報告しなければならない。また、身体への危険や明白な犯罪行為(暴行、不退去等)が生じた場合は、現場の判断で警察へ通報することができる。
3. 会社は、カスタマーハラスメントの被害に遭った従業員、または当該事実を報告した従業員に対し、当該事実を理由として解雇、減給、配置転換その他の不利益な取扱いを行わない。
4. 会社は、前項の相談窓口を設け、相談者及び関係者のプライバシーを保護し、被害を受けた従業員の心身の回復等の事後対応を適切に行う。
2026年10月施行に向けた実務タイムライン
就業規則は「作って終わり」ではありません。現場の警備員に周知し、運用に乗せるまでの期間を逆算すると、今の時期から動き出す必要があります。
就業規則・社内体制チェックリスト
2026年の義務化に向け、自社の体制が法要件を満たしているか、以下のリストで点検してください。
2026年の法改正に向けた就業規則の改定、
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