警備員の就業規則|一般テンプレートだけでは不足しやすい理由|山田社会保険労務士事務所
警備業に関するコラム Series.07

警備員の就業規則
一般テンプレートだけでは不足しやすい理由

「就業規則がある」だけでは、警備会社の勤務実態と法令が一致しているとは限りません。変形労働時間制、仮眠・待機、移動時間、警備員教育、欠格事由、装備品、現場中止時の賃金まで、就業規則・賃金規程・労使協定・現場運用を一体で確認する必要があります。

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警備業特化の就業規則
警備業法×労働法
2026年10月改正対応
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現在の就業規則を送るだけで、警備業の勤務実態と労働法令の観点から無料で簡易チェックします。

一般テンプレートを使っている、数年前に作ったまま、変形労働時間制・仮眠・教育時間・現場中止時の賃金等の扱いが不安という警備会社様向けです。

01

「就業規則はある」だけでは不十分な理由

労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する事業場ごとに就業規則の作成・届出が必要です。 正社員だけでなく、短時間労働者・有期契約労働者なども「常時使用する労働者」に含まれます。 作成・変更時には過半数労働組合または過半数代表者の意見を聴き、意見書を添付して届け出た上で、労働者へ周知する必要があります。

重要:就業規則に書けば適法になるわけではない 警備会社の実務では、就業規則だけで完結しない論点が多くあります。

変形労働時間制:法定の導入要件・勤務割の事前特定・必要な労使協定や届出を満たす必要があります。
仮眠・待機:「休憩」と規定しても、実態として労働からの解放が保障されていなければ労働時間となり得ます。
解雇・懲戒:就業規則に条項があっても、労働契約法上の有効性判断を免れません。
装備品の弁償・賃金控除:就業規則に書くだけで自由に給与から控除できるわけではありません。
📌 警備業法上の「法定備付書類」とは別 就業規則そのものは、警備業法施行規則第66条の法定備付書類ではありません。 一方、警備員教育、欠格事由、指導教育責任者、制服・護身用具等の警備業法上の運用と、 労働時間・賃金・懲戒等の就業規則上のルールが矛盾していると、実務上のリスクが生じます。 警備業法の書類と就業規則を同じものとして扱うのではなく、相互に整合させることが重要です。
根拠法令: 労働基準法第89条・第90条・第106条/労働契約法第7条・第12条・第13条
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「就業規則はあるが、中身に自信がない」場合は、まず無料簡易チェックをご利用ください。

現行規則のPDFやWordデータをお送りいただければ、警備業の勤務実態と照合し、不足項目を優先順位つきで確認します。

02

一般テンプレートで不足しやすい9つのポイント

すべての事項を就業規則本文に詰め込む必要はありません。 就業規則・賃金規程・労使協定・勤務割表・警備業法上の法定書類・現場マニュアルへ適切に切り分けながら、 次の論点が矛盾なく運用できる状態にしておくことが重要です。

1
労働時間・シフト
変形労働時間制と勤務割の事前特定

1か月単位の変形労働時間制は、労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより導入できます。 労使協定方式では届出が必要で、常時10人以上の事業場では就業規則の整備・届出も確認します。 1年単位は労使協定の締結・届出が必須です。

月ごとの勤務割を使う場合は、勤務区分、始業・終業時刻、勤務の組合せ、勤務割の作成手続・周知方法等を規定し、 法定の方法で各日の勤務をあらかじめ具体的に特定します。

リスク「変形制を採用する」とだけ書き、実際の勤務割を後から自由に変更する運用では、変形制の適用が認められない可能性があります。
2
仮眠・手待時間
休憩・仮眠・待機・緊急対応の区分

施設警備の仮眠・待機時間は、名称ではなく労働からの解放が保障されているかで判断します。 電話・警報・来訪者対応等への即時対応義務が残る時間は、労働時間と評価される可能性があります。 一方、実態として業務から解放され自由に利用できる時間は休憩となり得ます。

リスク就業規則で「仮眠は休憩・無給」と定めるだけでは、労働時間性を否定できません。
3
直行直帰・移動
自宅・集合場所・現場間の移動時間

自宅から警備現場への通常の直行・現場から自宅への直帰は、一般に通勤として扱われます。 ただし、会社指定の集合場所への集合、車両・装備品の受領、会社の指示による現場間移動などは、 使用者の指揮命令下に置かれている実態があれば労働時間となり得ます。

リスク「移動時間はすべて無給」「直行直帰ならすべて通勤」と一律に規定すると、実態と食い違う場合があります。
4
警備業法上の教育
新任・現任教育と労働時間・賃金

警備業法上、教育対象となる警備員に対して会社が実施を義務付ける新任・現任教育は、 使用者の指示による業務上義務付けられた研修として労働時間に当たります。 したがって賃金支払が必要で、法定時間外・深夜等に該当すれば割増賃金も別途判定します。 資格・経験等による教育免除・時間短縮の有無は警備業法側で確認します。

リスク「研修日は一律無給」「休日に自主参加扱い」としても、実際に参加が義務なら労働時間として扱われます。
5
責任者の役割
指導教育責任者と管理監督者を混同しない

警備員指導教育責任者は警備業法上の資格・選任制度であり、 労働基準法第41条第2号の管理監督者とは別制度です。 指教責としての法定業務、会社から与える労務管理権限、現場警備との兼務、勤務裁量、待遇を分けて整理します。

リスク「指教責は管理職だから残業代なし」と規定しても、実態が管理監督者に該当しなければ時間外・休日割増賃金の支払義務を免れません。
6
採用・欠格事由
欠格事由該当時の警備業務停止と雇用契約

警備業法第14条により、18歳未満の者や同法第3条第1号〜第7号の欠格事由に該当する者を警備業務に従事させることはできません。 採用時・在職中の確認手続、申告義務、該当が疑われる場合の警備業務からの一時的な配置外し等を整理します。

ただし、欠格事由に該当したことが直ちに雇用契約の自動終了を意味するわけではありません。 配置可能な他業務の有無や契約内容等を確認し、解雇する場合は労働契約法第16条等の要件を満たす必要があります。

リスク「欠格事由該当=当然退職・即時解雇」と機械的に運用すると、解雇の有効性を争われる可能性があります。
7
制服・装備品管理
貸与・返却・紛失時の費用負担と賃金控除

制服、無線機、警戒棒その他の貸与品について、貸与・使用・返却・紛失報告等のルールを定めることは有効です。 ただし、「紛失したら一律○万円を弁償する」と損害賠償額をあらかじめ定めることは労基法第16条との関係で問題となります。 また、会社が損害額を一方的に給与から差し引くことも、賃金全額払いの原則との関係で制約があります。

リスク就業規則に弁償条項があっても、定額賠償や一方的な給与天引きが当然に有効になるわけではありません。
8
現場中止・休業
現場キャンセル時の賃金・休業手当

発注者都合の中止、受注減少、会社の配置都合等で予定していた勤務を休ませる場合は、 労働契約上の賃金請求権に加え、労働基準法第26条の休業手当の要否を確認します。 使用者の責に帰すべき事由による休業なら平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。 天災等の不可抗力は別に判断します。

リスク「現場がなくなった日は自動的に無給」と一律に規定するのは危険です。中止理由と労働契約・就業規則を個別に確認します。
9
2026年10月施行
カスタマーハラスメント対策 義務化済

2026年10月1日から、カスタマーハラスメント防止のために事業主が雇用管理上必要な措置を講じることが義務化されています。 警備員は顧客担当者、施設利用者、通行人等と接するため、 方針の明確化、相談体制、事実確認・対応手順、再発防止、プライバシー保護、不利益取扱い禁止等を整備します。

なお、すべてを就業規則本文に書くことが法定要件ではなく、就業規則・ハラスメント規程・相談窓口・現場マニュアル等へ適切に分担します。

リスク元ページの「今後対応・先行整備」という表現は、2026年10月15日時点では既に古く、現在は法的義務として対応が必要です。
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上記のどこかに「規程と実際の運用が違う」箇所があれば、優先的な見直し対象です。

山田社会保険労務士事務所では、本則・賃金規程・育児介護休業規程だけでなく、労使協定・勤務割・現場マニュアルとの整合も確認します。

03

「作ったきり」の就業規則が抱えるリスク

就業規則は、一度作成すれば終わりではありません。 法改正だけでなく、実際の勤務形態、現場数、直行直帰の方法、賃金制度、雇用形態等が変われば、 規程と実態の整合を見直す必要があります。

2022年4月
育児・介護休業法の段階施行
育児休業を取得しやすい雇用環境整備、妊娠・出産申出時の個別周知・意向確認等が施行。 有期雇用労働者の「引き続き雇用された期間1年以上」という法定要件も廃止されました (労使協定による一定の除外は別途あり)。
施行済
2022年10月
産後パパ育休・育児休業の分割取得
出生時育児休業(産後パパ育休)や育児休業の分割取得等が施行。旧規程のままの場合は見直しが必要です。
施行済
2025年4月
子の看護等休暇・残業免除等の拡充
子の看護休暇が「子の看護等休暇」へ改められ、対象が小学3年生修了までに拡大。 学級閉鎖等・入園(入学)式・卒園式等も取得事由に追加され、所定外労働の制限も小学校就学前まで拡大されました。
施行済
2025年10月
育児期の柔軟な働き方を実現するための措置
3歳から小学校就学前の子を養育する労働者について、事業主が5つの選択肢から2つ以上の措置を講じ、 労働者が選択利用できる制度等が施行されました。
施行済
2026年10月
カスタマーハラスメント対策の義務化
全事業主にカスタマーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が義務化。 警備現場では相談・報告・現場対応・エスカレーションの手順を実務に落とし込む必要があります。
対応必須
2026年10月
同一労働同一賃金ガイドライン等の改正
賞与、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季冬季休暇等の考え方が追加・充実。 雇用区分ごとの賃金・手当・休暇規定も再点検が必要です。
対応必須
毎年最低賃金
最低賃金と賃金規程の確認
最低賃金との比較では、時間外・休日・深夜割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当等、 比較対象から除外する賃金があります。 「総支給額」で最低賃金を超えているかを見るのではなく、法定の比較方法で確認します。
毎年確認
放置リスク 古い就業規則を使い続けると、法令違反だけでなく、 実際の勤務シフト・給与計算・現場指示との矛盾が積み上がります。 とくに変形労働時間制、仮眠・待機、固定残業代、欠格事由、現場中止時の賃金は、 規程の文言と日々の運用の両方を確認してください。
04

汎用テンプレートで不足しやすい点の比較

汎用テンプレートが「誤り」という意味ではありません。 一般的な労働条件を定める土台として使える一方、 警備会社では次の論点を会社の実態に合わせて追加設計する必要があります。

確認項目 汎用テンプレートで起こりやすい不足 警備会社で確認する内容
変形労働時間制△
抽象的な条文だけの場合がある
○
勤務区分・勤務割作成・事前特定・労使協定まで確認
仮眠・待機△
「休憩」とだけ規定しがち
○
対応義務・交代体制・真正な休憩の実態を確認
直行直帰・移動△
通勤と業務移動の区分がない
○
集合・装備受領・現場間移動を実態で区分
新任・現任教育×
警備業法上の教育を想定しない
○
教育対象・労働時間・賃金・教育記録を整合
指導教育責任者×
一般業種にはない役割
○
法定業務と労基法上の管理監督者を区別
欠格事由×
警備業法14条を想定しない
○
警備業務からの配置外しと雇用終了を分けて設計
制服・装備品△
一般的な貸与品規定のみ
○
返却・紛失報告・弁償・賃金控除の法的制限まで確認
現場中止×
日給者の中止時賃金を想定しない
○
労契上の賃金・労基法26条の休業手当を確認
カスハラ対策△
2026年義務化前の内容の場合がある
○
相談体制・現場対応・再発防止を規程とマニュアルで整備
COMPARISON RESULT

テンプレートの種類より、「実際の運用と一致しているか」が重要です。

とくに変形労働時間制、仮眠・待機、教育時間、欠格事由、現場中止時の賃金は、条文だけでなく勤務実態・給与計算まで確認します。

05

今すぐ確認すべき自己診断チェックリスト

現在の就業規則だけでなく、賃金規程・労使協定・勤務割表・実際の給与計算も併せて確認してください。

警備会社向け 就業規則・関連規程 自己診断チェックリスト
A. 労働時間・休憩・シフト
採用している変形労働時間制の導入要件、労使協定、届出がそろっている
勤務区分・始終業時刻・勤務割作成手続が規程化され、各日の勤務を法定時期までに特定している
仮眠・待機を名称だけで休憩扱いせず、対応義務・交代体制等から労働時間性を判定している
直行直帰、集合、車両・装備受領、現場間移動の時間を実態に応じて区分している
点呼・朝礼・着替え・引継ぎ等、会社が義務付ける準備行為を勤怠へ反映している
B. 警備業法固有事項
新任・現任教育を会社が義務付ける時間について、労働時間・賃金の取扱いが一致している
警備員指導教育責任者の法定業務と、管理監督者性を別々に整理している
欠格事由該当時に警備業務から外す手続と、配置転換・解雇等の雇用上の処理を分けている
制服・装備品の貸与・返却・紛失報告を定め、定額弁償や一方的な給与天引きを前提としていない
C. 賃金・手当
時間外・法定休日・深夜・月60時間超の割増賃金を正しく計算できる規程・給与設定になっている
現場中止時について、休業理由ごとに賃金・休業手当の取扱いを判断できる
固定残業代を導入している場合、対象となる時間外労働等の対価部分が明確で、超過分を追加支給している
最低賃金との比較で、固定残業代・時間外等の割増賃金・通勤手当・家族手当・精皆勤手当等を適切に除外している
2026年10月改正の同一労働同一賃金ガイドラインを踏まえ、無事故手当・賞与・退職手当・家族手当等を点検している
D. ハラスメント・安全配慮
2026年10月義務化のカスタマーハラスメント対策について、方針・相談窓口・対応手順を整備している
通行人・施設利用者・顧客担当者等からの暴言・威圧等について、警備員が報告・退避・応援要請できるルールがある
E. 就業規則の基本手続
事業場ごとに常時10人以上かを確認し、該当する場合は就業規則を作成・変更届出している
作成・変更時に過半数代表等の意見を聴き、意見書を添付している
最新の就業規則を労働者が常時確認できる方法で周知している
2025年の育児介護休業法改正、2026年10月のカスハラ・同一労働同一賃金改正を関連規程へ反映している
チェックできない箇所があった場合 「条文がない」ことだけでなく、条文はあるが実際のシフト・給与計算・現場指示が違う状態も要注意です。 就業規則の見直しでは、文面だけでなく運用資料まで確認してください。
06

警備業特化の就業規則整備サービス

山田社会保険労務士事務所では、労働法令と警備業の現場運用を踏まえ、 警備会社向けの就業規則・関連規程の作成、点検、改定を行っています。 警備業法上の法定書類と就業規則を混同せず、必要な事項を本則・賃金規程・労使協定・勤務割・現場マニュアルへ適切に切り分けることを重視します。

新規作成
  • 就業規則本則の作成
  • 賃金規程・育児介護休業規程の整備
  • 変形労働時間制・仮眠・直行直帰・移動時間の設計
  • 警備員教育・欠格事由・指導教育責任者との整合確認
  • 現場中止時の賃金・休業手当ルールの整理
  • 労働基準監督署への届出サポート
既存規則の点検・改定
  • 現行規則と実際の勤務運用の差異チェック
  • 労働法・警備業法上の運用との整合確認
  • 2025〜2026年法改正の反映状況確認
  • 賃金規程・固定残業代・資格手当・交通費規程の見直し
  • 労使協定・勤務割・雇用契約書との整合確認
  • 改定後の周知・運用アドバイス
1
重要なのは「警備業向けの文言を増やすこと」ではなく、法令・規程・勤務実態・給与計算を一致させることです。
2
変形労働時間制、仮眠、教育、欠格事由、装備品、現場中止など、就業規則だけでは完結しない事項も一体で確認します。
3
就業規則本則だけでなく、賃金規程、育児介護休業規程、雇用契約書、労使協定、勤務割との整合性まで確認します。
【参照法令・公的資料】労働基準法第16条・第24条・第26条・第32条の2・第32条の4・第34条・第37条・第89条・第90条・第106条/労働契約法第7条・第12条・第13条・第16条/警備業法第14条・第21条・第22条/警備業法施行規則第38条・第40条・第66条/育児・介護休業法/改正労働施策総合推進法(2026年10月1日施行)/厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」等

本ページは2026年10月15日時点の法令・公的資料を確認して作成しています。就業規則に規定するだけで各制度が当然に有効になるわけではなく、労使協定、届出、周知、勤務実態その他の法定要件を個別に満たす必要があります。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件の法的判断を保証するものではありません。
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「うちの規則は大丈夫か?」という確認だけでも対応します。勤務実態・賃金計算・労働法令・警備業法上の運用との整合から、優先的に直すべき箇所を整理します。

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