SECURITY INDUSTRY LABOR CASE LAW

警備会社の労務管理に重要な判例を、「自社ならどうなるか」まで落とし込んで解説します。

仮眠・待機時間、24時間勤務、変形労働時間制、残業代、着替え・朝礼、解雇・雇止め、監視・断続的労働、労災、警備業法など、警備会社で判断に迷いやすい論点から探せる判例データベースです。判例名を知らなくても、実務上の疑問やキーワードから検索できます。

執筆・監修:山田紘大(社会保険労務士)内容確認日:2026年9月14日

警備業の重要判例・裁判例

CASE 03

イオンディライトセキュリティ事件

千葉地方裁判所民事第1部/平成29年5月17日

仮眠・休憩中でも警報等への即応義務があり、その必要性が「皆無に等しい」とはいえない現場では労働時間と判断されました。会社内で義務づけられた制服への着替えと朝礼も、必要な範囲で労働時間とされました。

1号警備仮眠・休憩着替え・朝礼
CASE 04

ビル代行事件

東京高等裁判所第12民事部/平成17年7月20日

深夜帯に勤務者だけで通常業務・異常対応を処理でき、仮眠者が実際に出動したことを裏付ける的確な証拠もなかったことなどから、仮眠時間は労働時間に当たらないとされました。一方、更衣5分と朝礼10分は労働時間として認められました。

24時間勤務仮眠時間複数人配置
CASE 05

日本総業事件とは?警備会社の変形労働時間制・固定残業代・仮眠時間

東京地方裁判所民事第19部/平成28年9月16日

就業規則が実際の日勤・夜勤等を適切に特定する仕組みを備えていなかったため、1か月単位の変形労働時間制の適用が否定され、基本給に割増賃金を含むとの主張も退けられました。一方、事実関係から仮眠時間と1時間枠の待機時間は非労働時間と判断されました。

変形労働時間制固定残業代仮眠・待機
CASE 06

セントラル綜合サービス事件とは?警備員の待機時間・休憩時間の労働時間性

東京地方裁判所民事第19部/令和6年5月31日

待機室で食事等はできても、無線が聞こえる状態、制服着用、自由な外出の制限、緊急時やトラブル時の対応実態などから、労働からの解放が保障されていないとして、待機時間全体が労働時間と認定されました。

待機時間休憩時間無線・外出制限
CASE 07

近畿保安警備事件とは?警備員と監視・断続的労働の適用除外

大阪高等裁判所第11民事部/平成2年7月31日

府立高校の警備業務について、許可時点の巡視割合、夜間の仮眠可能性、警報対応の頻度等を踏まえ、監視労働に対する労基法41条3号の適用除外許可は違法ではないとされました。発注者である大阪府の使用者責任も否定されています。

監視・断続的労働労基法41条3号学校警備
CASE 08

アラコム事件とは?警備員の勤務態度による有期契約の途中解雇・雇止め

東京地方裁判所民事第11部/平成12年11月14日

有期契約の警備員について、上司の指示不遵守、接遇・勤務態度、顧客からの改善要求等を総合し、契約期間途中の解雇が有効と判断されました。その後の別の有期契約の雇止めにも合理的理由があるとされましたが、判決は労働契約法制定前であり、現行法では別途検討が必要です。

有期契約途中解雇雇止め
CASE 09

第一警備保障・泉大津労基署長事件

大阪地方裁判所第2民事部/昭和61年2月28日

警備員に高血圧という基礎疾病があっても、長時間・深夜の巡回警備、睡眠不足、精神的ストレス等が共同して症状を自然経過を超えて増悪させたと認められる場合、業務起因性は否定されません。本件では労災保険給付の不支給処分が取り消されました。

巡回警備深夜業労災
CASE 10

旧警備業法の被保佐人欠格は違憲

最高裁判所大法廷/令和8年2月18日

最高裁は、旧警備業法の「被保佐人であること」だけを理由に警備員から一律に排除する規定について、遅くとも2017年3月の退職時点では違憲になっていたと判断しました。ただし、国の国家賠償責任は否定しました。

警備業法欠格事由被保佐人

掲載判例の主要論点と結論

判例は、似たテーマでも事実関係や法制度の時点によって結論が変わります。まずは主要な論点と、この事件で示された結論を比較してください。

掲載判例の主要論点と結論
判例主な論点この事件での結論
大星ビル管理事件とは?警備員の仮眠時間・24時間勤務への影響仮眠時間/労働時間/24時間勤務仮眠時間全体を労働時間と判断
ビソー工業事件とは?警備員の仮眠・休憩時間が労働時間にならなかった事例病院警備/仮眠・休憩/複数人配置仮眠・休憩全体は原則非労働時間/実作業分は支払
イオンディライトセキュリティ事件仮眠・休憩/着替え/朝礼仮眠・休憩、着替え・朝礼の一部を労働時間と判断
ビル代行事件24時間勤務/仮眠/更衣・朝礼仮眠は非労働時間/更衣・朝礼は労働時間
日本総業事件とは?警備会社の変形労働時間制・固定残業代・仮眠時間変形労働時間制/固定残業代/仮眠・待機変形制・固定残業代の主張を否定/仮眠・1時間枠待機は非労働時間
セントラル綜合サービス事件とは?警備員の待機時間・休憩時間の労働時間性待機時間/休憩/無線・外出制限待機時間全体を労働時間と判断
近畿保安警備事件とは?警備員と監視・断続的労働の適用除外監視・断続的労働/適用除外許可/発注者責任許可処分は違法でない/大阪府の使用者性も否定
アラコム事件とは?警備員の勤務態度による有期契約の途中解雇・雇止め有期契約/途中解雇/雇止め途中解雇を有効、雇止めにも合理的理由あり(現行法は別途確認)
第一警備保障・泉大津労基署長事件巡回警備/深夜業/長時間労働脳幹部出血の業務起因性を認定
旧警備業法の被保佐人欠格は違憲警備業法/欠格事由/被保佐人旧一律欠格を違憲/国家賠償責任は否定

警備会社が判例を読むときの6つの視点

1. 何が争われた事件か

労働時間、割増賃金、解雇・雇止め、労災、適用除外、警備業法など、まず争点を切り分けます。

2. 現場の事実関係

人員配置、対応義務、外出の可否、勤務態度、指導経過など、裁判所が重視した具体的な事実を確認します。

3. 書面と実際の運用

就業規則、労働条件通知書、勤務表、警備計画書、手順書、警備日誌等と実態が一致していたかを見ます。

4. 証拠が何として残っていたか

タイムカード、無線運用、指導記録、顧客からの苦情、巡回記録など、事実認定の根拠となった証拠を確認します。

5. 判決当時の法制度

古い判例は現在と法令・通達・制度が異なる場合があります。判決当時の判断と現行法上の対応を分けて考えます。

6. 自社への当てはめ

判例の結論だけを流用せず、自社の契約、規程、勤務実態、配置、証拠関係との差を確認して判断します。

この判例データベースの方針

単なる判例要約ではありません。 判例名・結論だけでなく、裁判所が重視した事実、現在の警備会社に置き換えた場合の判断要素、勤務表・就業規則・現場運用で確認すべき点まで整理します。

判例情報は日本法令の判例データを調査資料として確認し、必要に応じて裁判所公開資料等と照合した上で独自に要約・分析しています。日本法令の要旨・評釈等の編集文章を転載するものではありません。古い判例については、判決当時の法制度と現行法を区別して取り扱います。

執筆・監修:山田紘大|社会保険労務士

警備会社での現場・管理・経営実務を踏まえ、警備業法と労働法の双方から、警備会社の勤務実態に落とし込んで解説しています。

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判例と自社の勤務実態を比較したい場合

仮眠・待機、24時間勤務、変形労働時間制、残業代、解雇・雇止め、監視・断続的労働など、規程・勤務表・現場資料を確認しながら整理します。

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掲載する判例・裁判例は一般情報です。同じ警備業の事件でも、契約、配置人数、対応義務、勤務態度、指導経過、実作業頻度、適用法令、証拠関係等により結論は変わります。個別案件は事実関係と現行法を確認した上で判断してください。