「働き方改革とよく聞くけれど、うちのような規模の会社は何から手をつければいいのか」
日頃から現場の対応や売上向上に尽力されている経営者様から、こうしたお悩みの声をよく伺います。多忙な毎日の中で、労務管理にまで完璧に目を行き届かせるのは本当に大変なことと思います。
しかし、少しずつでも労務の基盤を整えることは、大切な社員を守り、会社がさらに成長していくための力強いサポートになります。本記事では、無理なく始められる「3つの基本」について、分かりやすくお伝えします。
1. 就業規則を「会社と社員の約束の書」として整える
就業規則は、労働基準監督署へ提出するための事務的な書類というだけではありません。会社と社員がお互いにルールを共有し、安心して働くための「大切な約束事」です。
インターネットの無料テンプレートを利用する際のご注意
時間がない中で、インターネット上の無料テンプレートを活用されることもあるかもしれません。しかし、ひな形をそのまま使用すると、自社にはない手当が記載されていたり、実際の勤務時間と異なっていたりすることがあります。ルールと実態が違うと、社員は「どちらを信じればいいの?」と迷ってしまいます。実態に即したルールを明文化することが、お互いの信頼関係を深める第一歩となります。
- 従業員が10名以上いらっしゃる場合、労働基準監督署へ届出が行われているか
- 近年の法改正(育児・介護休業法、パワハラ防止法など)が反映されているか
- 現在運用している働き方や賃金制度と、規則の内容に大きなズレはないか
2. 労働時間を「客観的なデータ」として正しく把握・管理する
社員と強い信頼関係で結ばれている会社ほど、「うちはお互いに納得して働いているから大丈夫」と思われがちです。しかし、長時間労働は社員の心身の健康を損なうリスクがあり、客観的な労働時間の把握は、大切な社員を守るための基本となります。
未払い残業代の時効延長がもたらす影響
2020年の労働基準法改正により、未払い残業代等の請求権の消滅時効が、従来の「2年」から「3年」に延長されました(将来的には5年となる見込みです)。
仮に月数万円の計算モレがあり、退職時などに3年分をさかのぼって計算されると、1人あたりでもまとまった金額となります。
もし同じ働き方をしている社員が複数いらっしゃった場合、会社の財務計画に想定外の大きな影響を与える可能性があります。双方が納得して働けるよう、正しい記録を残すことが大切です。
- 手書きや自己申告だけでなく、タイムカードや勤怠システム等で客観的な記録を残しているか
- 時間外労働をしていただく前提として、「36協定」を毎年労基署へ提出しているか
3. 制度だけでなく、社員との「温かい対話」の場を作る
ここまで制度やルールの見直しについて触れてきましたが、会社を日々動かし、支えているのは感情を持った「人」です。どんなに立派なシステムや就業規則を導入しても、日々のコミュニケーションが不足していると、ちょっとしたすれ違いが不安に変わってしまうことがあります。
対話がもたらす、最も確実なトラブル予防
労使間のすれ違いの多くは、「自分の状況を理解してもらえていない」「話を聞いてもらえない」という孤独感や不満から生じることが少なくありません。
だからこそ、経営者や管理職の皆様には、お忙しい中でも社員と1対1で対話する時間(1on1ミーティングなど)を少しでも設けていただくことをお勧めします。業務の進捗だけでなく、「最近体調はどう?」「困っていることはない?」と気遣うお声がけが、社員への「あなたを大切に思っている」というメッセージとなり、結果として会社全体の良い雰囲気づくりにつながります。
まとめ:労務管理は、会社を良くする前向きな取り組み
労務管理というと、「法律で決まっているからやらなければならないもの」と感じられるかもしれません。しかし、ルールを明確にし、社員が心身ともに健康で働ける環境を作ることは、定着率の向上や企業の発展に直結する前向きな取り組みです。
まずは「就業規則」と「労働時間の管理方法」を自社の実態に合わせること。
そして、社員の皆様との「対話」を大切にすること。
とはいえ、本業に注力しながら最新の法令をすべて把握し、規則を整備するのは非常にご負担が大きいかと思います。少しでも疑問や不安がございましたら、どうぞお気軽に私ども社会保険労務士にご相談ください。経営者様の想いに寄り添いながら、会社と社員の双方が安心できる環境づくりをサポートさせていただきます。
労務管理について、少しだけお話ししてみませんか?
「うちの就業規則、今のままで大丈夫かな?」「何から始めればいいか相談したい」など、
労務に関するささいな疑問でもお気軽にご連絡ください。初回相談は無料です。