外国人警備員の在留資格と業務可否 ― 雇えるのは誰か・してはいけない雇い方とは|山田社会保険労務士事務所
警備業に関するコラム

外国人警備員の在留資格と業務可否
― 雇えるのは誰か・してはいけない雇い方とは

在留資格によって警備業務への従事可否は明確に分かれます。
誤った雇用は雇用主が刑事罰を受けるリスクも。警備業法・入管法の両軸で解説します。

不法就労助長罪リスク
警備業法第14条・第3条
在留資格による可否一覧
2025年〜厳罰化施行

警備業界の人手不足は深刻で、2024年以降も外国人警備員の採用を検討する会社が増えています。 しかし「外国人を雇うのは難しい」という漠然とした認識のまま採用を見送ったり、逆に在留資格の確認を怠って違法状態に陥るケースが後を絶ちません。 正確な知識があれば、外国人警備員の採用は合法的かつ有効な人材確保の手段になります。

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大前提:警備業法に「外国人不可」の条文はない

まず重要な事実確認から始めます。 警備業法には「外国人は警備員になれない」という規定は存在しません(事実)。 警備業法第14条が定めるのは「欠格事由」であり、その中に国籍は含まれていません。 つまり、適切な在留資格を持ち、欠格事由に該当しなければ外国人も警備員になれます

📌 問題は「在留資格」にある 外国人が警備員として働けるかどうかを決めるのは国籍ではなく在留資格の種類です。警備業は「単純労働」に分類されるため、就労目的で来日する一般的な就労ビザ(技術・人文知識・国際業務等)では従事できません。就労制限のない「身分系在留資格」を持つ外国人が採用対象になります(事実・入管法別表第二)。
🚨 特定技能・技能実習では警備業務に従事できない(事実) 2025年現在、警備業は特定技能制度の対象分野に含まれていません。特定技能1号・2号、技能実習いずれの在留資格でも警備業務への従事は認められていません。将来的な制度拡大の議論はありますが、現時点では不可です。「特定技能で警備員を雇えるか」という問い合わせは現状できないという回答になります(確認時点:2025年)。
参照法令:警備業法第14条(警備員の制限)・第3条(欠格事由)/出入国管理及び難民認定法別表第一・第二(在留資格)
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在留資格別 業務可否一覧

主要な在留資格について、警備業務への従事可否を整理します(事実)。

在留資格 警備業務 就労制限 実務上のポイント
✅ 警備業務に従事できる在留資格(身分系)
永住者 就労可 制限なし 日本人と同等。在留カードに「就労制限なし」と記載。在留期限は「無期限」
日本人の配偶者等 就労可 制限なし 日本人と婚姻した外国人。在留期間の更新が必要。離婚・死別で資格変更が必要になる場合あり
永住者の配偶者等 就労可 制限なし 永住者と婚姻した外国人。在留期間の更新が必要
定住者 就労可 制限なし 日系人・難民認定者・中国残留邦人等。長期就労が見込める戦力として有力な採用対象
❌ 警備業務に従事できない在留資格
技術・人文知識・国際業務 就労不可 専門技術業務のみ いわゆる「就労ビザ」。警備は単純労働として対象外。通訳・事務等には就労可
特定技能1号・2号 就労不可 指定14分野のみ 警備業は特定技能の対象分野に含まれない(2025年現在)
技能実習 就労不可 実習計画の業種のみ 警備は対象職種に含まれない
留学(資格外活動許可あり) 就労不可 週28時間・風俗除く 資格外活動許可があっても警備業務は対象外。留学生を警備員として雇うのは違法
家族滞在 就労不可 原則就労不可 資格外活動許可で週28時間以内のアルバイトは可能だが、警備業務は不可
短期滞在・観光 就労不可 就労全般不可 観光・商用・親族訪問等。あらゆる就労が禁止
⚠️ 在留カードの確認は「原本で・直接・読取アプリで」(事実) 口頭での確認や在留カードのコピー確認では不十分です。採用時には在留カードの原本を直接確認し、表面の「就労制限の有無」欄と裏面の「資格外活動許可欄」の両方を読み取ることが必要です。出入国在留管理庁が提供する在留カード等読取アプリの活用も推奨されています。確認を怠った「過失」があると、不法就労助長罪の処罰を免れない場合があります(入管法第73条の2)。
参照法令:出入国管理及び難民認定法別表第一・第二(在留資格の区分)・第19条(在留資格に基づく活動の制限)・第73条の2(不法就労助長罪)/労働施策総合推進法第28条(外国人雇用状況の届出)
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警備業法上の欠格事由(第3条・第14条)

在留資格がクリアしても、警備員として働くためには警備業法上の欠格事由に該当しないことが必要です。 これは日本人・外国人を問わず共通の要件です(事実・警備業法第14条)。

📌 警備員の欠格事由(警備業法第3条第1〜7号・第14条) 以下のいずれかに該当する者は警備員になれません。警備業者はこれに該当する者を警備業務に従事させてはなりません。
1
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
自己破産後に復権していない者。復権済みであれば問題なし(2019年12月改正で「成年被後見人・被保佐人」は削除済み)
2
拘禁刑以上の刑に処せられ、執行終了・執行免除から5年を経過しない者
※刑法改正により2025年6月1日から「禁錮以上」が「拘禁刑以上」に統一
3
最近5年間に警備業法等に違反する重大な不正行為をした者
放火・暴行・盗犯等に関する犯罪が典型例
4
集団的・常習的に暴力的不法行為を行うおそれが相当の理由で認められる者
いわゆる暴力団等が対象。外国籍であること自体は該当しない
5
暴力団員による不当な行為防止法の命令・指示を受けてから3年を経過しない者
6
アルコール・麻薬・大麻・あへん・覚醒剤の中毒者
7
心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者(国家公安委員会規則で定める者)
病名ではなく「業務遂行への支障の有無」で判断。診断書の確認が必要な場合あり

また、18歳未満の者は警備員になれません(警備業法第14条第1項)。

✅ 国籍・外国人であることは欠格事由に含まれない(事実) 欠格事由の第1〜7号を見ると、「外国人」「外国籍」という要件は一切ありません。したがって、在留資格の条件を満たし、これらの欠格事由に該当しなければ外国人も適法に警備員になれます。
参照法令:警備業法第3条(警備業の要件)・第14条(警備員の制限)/刑法改正(令和4年法律第67号・令和7年6月1日施行)
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雇用主の義務と罰則 ― 不法就労助長罪の最新動向

外国人を雇用する事業主には、日本人採用時には課されない追加の法的義務があります。 特に注意が必要なのが不法就労助長罪の厳罰化です。

義務・規制 根拠法令 罰則・リスク
外国人雇用状況の届出
雇入れ・離職のたびにハローワークへ届出
労働施策総合推進法第28条 30万円以下の罰金
特別永住者・外交・公用は除外
不法就労の防止
在留資格のない者・活動範囲外の業務に従事させないこと
入管法第73条の2
(不法就労助長罪)
3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(現行)
厳罰化予定 2026年6月14日施行予定:5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げ
過失による処罰
「知らなかった」は免責にならない
入管法第73条の2
(過失責任)
在留カードを確認していない等の過失がある場合も処罰対象。両罰規定あり(法人にも罰金)
🚨 2024年改正入管法:不法就労助長罪の大幅厳罰化(事実) 2024年に公布された改正入管法により、不法就労助長罪の罰則が引き上げられます。2026年6月14日施行予定(推定:公布内容に基づく、施行日は政令で確定)で、上限が「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科可)」となる見込みです。法人には両罰規定があるため、採用担当者個人だけでなく会社組織にも罰金刑が科される可能性があります。
⚠️ 「知らなかった」は通用しない ── 過失責任の実務的意味 不法就労助長罪は過失犯も処罰対象です。「在留カードを確認していなかった」「有効期限が切れていた」「口頭での確認だけだった」といった状況では過失が認定される可能性があります。無過失を立証するには「在留カード原本を確認し、読取アプリで真偽確認を行ったこと」の記録が証拠になります(事実・警視庁公式資料に基づく)。
参照法令:出入国管理及び難民認定法第73条の2(不法就労助長罪)/労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第28条(外国人雇用状況の届出)/2024年改正入管法(公布:令和6年法律第42号)
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採用から現場配置までの実務フロー

外国人警備員の採用から現場投入までの標準的な流れと、各ステップの注意点を整理します。

1
募集・面接:在留資格の事前確認

応募時点で在留資格の種類と有効期限を確認します。「身分系在留資格(永住者・定住者・日本人配偶者等・永住者配偶者等)」であることを確認してから選考を進めます。口頭のみの確認は不可。在留カード提示を面接時に求めてください。

留学・技能実習・特定技能は選考対象外
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在留カード原本の確認・記録

採用決定後、在留カードの原本を確認します。確認項目は①在留資格の種類、②在留期限(「無期限」か有期限か)、③表面「就労制限の有無」欄(「就労制限なし」の記載があること)、④裏面「資格外活動許可欄」(身分系は不要だが確認習慣として)。出入国在留管理庁の読取アプリで真偽確認を行い、確認記録を保管してください。

コピーのみ・アプリ未確認はリスク大
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警備業法上の欠格事由の確認

警備業法第3条・第14条に基づく欠格事由の有無を確認します。在留カードの確認書類に加え、必要に応じて犯罪経歴証明書・健康診断書・誓約書を取得します。18歳以上であることの確認も必要です。

警備員台帳に記録・保管
4
外国人雇用状況の届出(ハローワーク)

雇入れ時にハローワークへ届出を行います。雇用保険被保険者の場合は「資格取得届」、非被保険者の場合は「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」で届出。特別永住者・外交・公用を除く全ての外国人が対象です。怠ると30万円以下の罰金(事実・労働施策総合推進法第28条)。

届出忘れは30万円以下の罰金
5
新任教育の実施(20時間以上)

警備業法第21条に基づき、新任警備員には20時間以上の新任教育が必要です。外国人の場合も同様で免除はありません。日本語能力に応じて資料の多言語化や通訳サポートを検討します。教育記録は3年間保管義務あり(事実)。

多言語対応の資料整備を推奨
6
現場配置後の在留資格・期限の継続管理

永住者以外は在留期限があります。期限切れのまま就労させると不法就労助長罪の対象になります。在留期限の3か月前に本人へ更新手続きを促す社内フローを構築してください。離職時もハローワークへの届出が必要です(雇用保険非被保険者は翌月末まで)。

期限切れ見落としで助長罪リスク
参照法令:警備業法第21条・第22条(警備員の教育)・第19条(帳簿の備え付け)/出入国管理及び難民認定法第73条の2/労働施策総合推進法第28条
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外国人警備員を活用する4つのメリット

制度の制約を正しく理解した上で採用に踏み出す警備会社が増えています。適切な在留資格を持つ外国人警備員には、以下のような実務的なメリットがあります。

1
若年層・即戦力の確保
日本在留の外国人は20〜30代が最多層。高齢化が進む警備業界において、体力・持続力を求める夜間・屋外業務の担い手として有効な採用対象です。定住者・永住者は長期就労が見込める安定した戦力になります。
2
外国語対応力の活用
インバウンド需要が高い空港・観光施設・大型商業施設では英語・中国語・韓国語等の対応ができる警備員の需要が拡大しています。外国人警備員を戦略的に配置することで、施設の利用者満足度向上にもつながります。
3
シフトの柔軟性
夜間・深夜・早朝など日本人が敬遠しがちなシフトへの対応力が高い傾向があります。24時間施設警備・深夜の交通誘導など、特定のシフト帯での人員確保が難しい現場での戦力化が期待できます。
4
採用力・定着率の向上
適切な就労環境と多言語対応の研修資料を整備した警備会社は、外国人コミュニティ内での評判が高まり、紹介採用が生まれやすくなります。制度を整備した会社の採用力向上につながる実例が出てきています。
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実務チェックリスト

📋 外国人警備員 雇用・管理チェックリスト
採用・在留資格の確認
在留資格が「永住者・日本人配偶者等・永住者配偶者等・定住者」のいずれかであることを在留カード原本で確認したか
在留カードの表面「就労制限の有無」欄が「就労制限なし」と記載されているか
出入国在留管理庁の読取アプリ等を使用して在留カードの真偽を確認したか
留学・特定技能・技能実習の在留資格を持つ者を警備業務に従事させていないか
資格外活動許可がある留学生を警備員として雇用していないか(資格外活動でも警備業は不可)
警備業法上の欠格事由確認
18歳以上であることを確認したか
警備業法第3条第1〜7号の欠格事由(犯罪歴・暴力団・薬物中毒等)に該当しないことを確認したか
必要書類(誓約書・健康診断書等)を取得し警備員台帳に記録・保管したか
法定届出・教育
雇入れ時にハローワークへ外国人雇用状況の届出を行ったか(被保険者は資格取得届、非被保険者は様式第3号)
新任教育(20時間以上)を実施し、教育記録を保管したか
日本語能力が業務に支障ない水準にあることを確認したか
継続管理
永住者以外の在留期限を管理し、期限3か月前に本人へ更新を促す社内フローがあるか
離職時にハローワークへ外国人雇用状況の届出を行っているか
在留資格が変更された場合(離婚・帰化申請等)に再確認する体制があるか
1
警備業法に「外国人不可」の規定はない。在留資格の種類が就労可否を決める
2
採用できるのは「永住者・日本人配偶者等・永住者配偶者等・定住者」の身分系在留資格のみ
3
特定技能・技能実習・留学(資格外活動含む)では警備業務は不可(2025年現在)
4
不法就労助長罪は過失でも処罰対象。2026年6月から罰則が5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金に厳罰化予定
5
雇入れ・離職時の外国人雇用状況届出(ハローワーク)と在留期限の継続管理が雇用主の義務
【参照法令・資料】警備業法第3条・第14条・第19条・第21条・第22条/出入国管理及び難民認定法別表第一・第二・第73条の2(不法就労助長罪)・2024年改正入管法(令和6年法律第42号)/労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第28条(外国人雇用状況の届出)/刑法改正(令和4年法律第67号・令和7年6月1日施行)

特定技能の対象分野・不法就労助長罪の施行日等の情報は変更される可能性があります。最新情報は出入国在留管理庁・厚生労働省の公式サイトでご確認ください。本コラムは情報提供を目的としており、個別案件の法的判断を保証するものではありません。具体的な案件については専門家(社会保険労務士・行政書士等)にご相談ください。
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