警備業の労働判例・裁判例|24時間勤務・仮眠
同じ24時間警備でも、仮眠者以外の人員で業務を処理でき、仮眠者が実作業へ従事する必要性が実質的にほとんどない場合には、仮眠時間が労働時間とされないことがあります。
30秒で結論
深夜帯に4名中おおむね2名が仮眠、2名が勤務し、勤務者だけで通常業務・異常対応を処理でき、仮眠者が実際に出動したことを裏付ける的確な証拠もなかったことなどから、仮眠時間は労働時間に当たらないとされました。一方、更衣5分と朝礼10分は労働時間として認められました。
判例情報
- 裁判所・日付
- 東京高等裁判所第12民事部/平成17年7月20日
- 事件番号
- 平成17年(ネ)第1425号
- 事件名
- 賃金請求控訴事件(ビル代行事件)
- 裁判結果
- 原判決一部変更・一部認容・一部棄却
- 上告審
- 最高裁第三小法廷・平成18年6月13日決定
- 主な論点
- 24時間勤務/仮眠/更衣/朝礼
どんな事件だったのか
ビル警備に従事する警備員らが、更衣時間、朝礼時間、休憩時間、仮眠時間を労働時間として未払賃金等を請求した事件です。第一審は仮眠時間の労働時間性を認めましたが、東京高裁は、深夜帯の配置と実際の呼出し状況を精査し、仮眠時間について結論を変更しました。
裁判所はどう判断したか
深夜帯は4名のうち概ね2名が仮眠し、起きている2名が警備本部・正面・巡回等を担当していました。仮眠者は地下の仮眠室等で制服を脱いでパジャマに着替えていました。発報は勤務中の警備員が処理でき、不審者対応も通常は単独で対応しており、提出された資料からも仮眠者が実作業に従事する必要があって出動したことを認めるに足りないとされました。そのため、仮眠時間は労働時間に該当しないと判断されました。他方、更衣と朝礼については一部が労働時間とされました。
判断を分けた事実
夜間業務量が比較的少なく、警備本部・巡回等の勤務者で通常の対応を行える配置でした。
仮眠室は勤務ポストと分離され、仮眠者は制服を脱いでパジャマに着替えていました。
仮眠者をしばしば起こしたとの主張に対し、裁判所は提出資料を精査し、必要性を裏付ける証拠が十分でないと評価しました。
仮眠が非労働時間でも、始業前の更衣・朝礼が指揮命令下なら、その部分は労働時間になります。
警備会社に置き換えると
ビル代行事件は、大星ビル管理事件と対比して読むことで価値が高まります。「仮眠室に内線がある」「現場内にいる」という事実だけで直ちに労働時間になるわけではなく、実際に誰が緊急対応するのか、仮眠者が呼び出される必要性がどれほどあるのかが重要です。一方、会社側が非労働時間性を主張するなら、勤務表・警備日誌・発報記録・役割分担がその主張を裏付ける状態である必要があります。
結論が変わり得るチェックポイント
- 深夜の勤務者だけで発報・不審者・施錠確認等を処理できるか
- 仮眠者の呼出しを前提にしない人員配置になっているか
- 仮眠者が制服を脱ぎ、独立した場所で就寝できるか
- 実際の呼出し・出動記録がどの程度あるか
- 顧客仕様・警備員手帳・現場運用に『複数対応必須』等の義務がないか
警備会社の実務チェック
- 仮眠時間帯のポスト配置を勤務表で可視化する
- 発報・救急・不審者・施錠対応ごとに主担当と代替担当を決める
- 仮眠者を呼び出した場合は理由・時刻・実作業時間を警備日誌に残す
- 更衣・朝礼は仮眠問題と切り分けて勤怠処理を確認する
- 「仮眠=非労働時間」と一律処理せず、現場単位で判定する
この判例を使うときの注意
出典・確認資料
判例情報は日本法令の判例データを調査資料として確認し、公開ページでは判決の事実関係・判断枠組みを独自に要約しています。日本法令の要旨・評釈等の編集文章を転載するものではありません。
- 日本法令 判例データベース:判例ID 28101795(調査資料)
- 裁判所 裁判例検索:東京高裁平成17年(ネ)第1425号/平成17年7月20日
- 判例誌:労働判例899号13頁
本ページは警備会社の労務管理に役立つ一般情報を提供するもので、個別事件についての法的助言を目的とするものではありません。具体的な判断は、契約・就業規則・勤務実態・証拠関係等によって異なります。
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仮眠・休憩、24時間勤務、変形労働時間制、就業規則など、警備会社特有の勤務実態を前提に整理します。
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