警備業の労働判例・裁判例
仮眠・待機、変形労働時間制、残業代、解雇・雇止め、監視・断続的労働など、警備業に関係する裁判例を論点別に確認できます。
判例データベースを見る警備会社から実際に寄せられた相談や、警備業の実務で繰り返し問題になりやすい論点を、 個別の会社・人物を特定できない形に一般化して25問に整理しました。 結論、法的な考え方、実務上の対応を順に確認できます。
各回答は一般的な情報提供です。実際の結論は、労働契約、就業規則、勤務表、 指示方法、事業所規模、本人の状況等により変わります。
本ページはに全25問の法令・公的資料を再確認しています。2026年10月1日施行・適用の改正内容も反映済みです。法改正・行政運用は更新されるため、個別対応前には最新の公的情報をご確認ください。
Q&Aに該当する悩みが複数ある場合は、就業規則の10項目を確認すると、 優先して見直すべきポイントを整理できます。登録は不要です。
「仮眠」「有給」「新任教育」「マイカー」「労災」「入社祝金」「育休」などのキーワード、またはカテゴリーで絞り込めます。 複数語は空白で区切ると、すべての語を含む質問を表示します。
25問を表示しています。
生活保護を受給していることだけを理由に採用できないわけではありません。通常どおり労働条件を明示し、警備員の欠格事由を確認します。就労収入は本人が福祉事務所へ申告し、世帯状況や控除後の収入に応じて保護費の変更・停止・廃止が判断されます。
生活保護受給中でも就労できます。就労収入がある場合、本人には生活保護法第61条に基づく届出義務があります。収入は必要経費や勤労控除等を反映して認定されるため、給与額がそのまま全額保護費から差し引かれるわけではありません。
会社は通常の雇用契約・労働条件通知を行い、福祉事務所から給与証明等を求められた場合に協力します。勤務日数や賃金を変更する前に、本人から担当ケースワーカーへ相談してもらう運用が安全です。
警備業法に採用年齢の上限はありません。ただし、年齢だけで判断するのではなく、担当業務に必要な認知・判断・体力、勤務時間、既往歴への配慮等を個別に確認し、安全に就業できる配置を設計する必要があります。
使用者は労働契約法第5条に基づく安全配慮義務を負います。加えて、2026年4月1日から、 労働安全衛生法第62条の2第1項により、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずることが事業者の努力義務となっています。 同条第2項に基づく「高年齢者の労働災害防止のための指針」では、健康・体力の状況の把握、職場環境の改善、作業方法の見直し、安全衛生教育等を事業場の実情に応じて進める考え方が示されています。
会社が業務上必要として受講させた資格費用について、一定期間内の退職を理由に一律返還させる定めは、労働基準法第16条に違反する可能性が高いです。ただし、業務と明確に区別された任意の資格取得について、独立した金銭消費貸借が成立している場合などは個別判断になります。
労働基準法第16条は、退職等の労働契約不履行について違約金や損害賠償額をあらかじめ定めることを禁止しています。判断では、受講が任意か、業務に必須か、貸付契約が労働契約から独立しているか、返還額が実費か、退職の自由を不当に制限していないか等が考慮されます。
警備業務に必要な資格は、原則として会社の教育・人材投資として設計する方が安全です。定着促進は返還条項ではなく、資格手当、職務等級、配置機会等で行ってください。貸付制度を設ける場合は個別に専門家へ確認してください。
試用期間中でも自由に契約を終了できるわけではありません。具体的な能力不足を示し、必要な指導・評価期間を設け、配置転換の可否も検討した上で、就業規則と解雇手続に沿って判断します。
試用期間は解約権留保付労働契約とされますが、本採用拒否や解雇には、採用時に知ることができなかった事情等に照らした客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。 また、労働基準法第21条第4号により試の使用期間中の者は解雇予告制度の適用除外とされていますが、 14日を超えて引き続き使用した場合は同法第20条の30日前予告または解雇予告手当が必要です。 14日以内であっても「自由に解雇できる」という意味ではなく、解雇自体の有効性とは別問題です。
無線操作、合図、歩行速度、危険認知等の職務基準を示し、指導内容と改善状況を記録します。別業務への配置を検討する場合は、募集内容、採用経緯、労働条件通知書の「業務の変更の範囲」、長期間の従事実績等から職種限定合意がないかを先に確認してください。退職勧奨を行う場合も、威圧せず、選択肢と検討時間を与えます。
現場警備、書類作成、巡察、警備員教育等、使用者の指示で行う時間は通算して労働時間です。時間外割増の有無は、通常の1日8時間・週40時間制か、適法な変形労働時間制を採用しているかを踏まえて判定します。
労働基準法第32条に基づき、使用者の指揮命令下に置かれているすべての時間が労働時間です。現場警備・書類作成・教育実施のいずれも区別なく通算されます。また、現任教育の実施時間も労働時間であるため、最低賃金以上の賃金支払いが必要です。
現場シフトだけでなく、教育準備、教育実施、書類作成、巡察、電話対応を同じ勤怠記録へ集約してください。変形労働時間制を採用する場合も、事前に特定した勤務と実績を照合できるようにします。
自宅から現場への通常の直行直帰は、原則として通勤時間です。ただし、営業所への立寄り、資機材運搬、他の警備員の送迎、移動中の具体的な業務等を会社が義務付けている場合は、労働時間に該当する可能性があります。
自宅から指定された現場へ通常どおり直行し、移動中に会社の具体的な指揮命令を受けていない時間は、原則として通勤時間と考えられます。労働時間に該当するかは、使用者の指揮命令下に置かれているかにより客観的に判断されます。三菱重工業長崎造船所事件(最判平成12年3月9日)は直行直帰を直接扱った判例ではありませんが、この一般的な判断基準を示したものとして参照されます。
最大の判断基準は「労働から完全に解放されているか」です。場所を離れることが禁止され、緊急対応や電話番が義務付けられている状態であれば、それは休憩ではなく「手待時間(労働時間)」です。
大星ビル管理事件(最判平成14年2月28日)において、仮眠時間中であっても、警報が鳴った際や電話が鳴った際に「直ちに対応することが義務付けられている」場合は、使用者の指揮命令下に置かれている(労働時間である)と厳格に判断されました。
仮眠中も電話・警報・巡回等への即応義務がある場合は、その時間を労働時間として扱う必要があります。無給の休憩とする場合は、業務対応を別担当者へ引き継ぎ、本人が労働から離れられる体制を実際に確保してください。労働時間と評価される時間には賃金支払義務が生じ、22時から翌5時に該当する部分には深夜割増の問題も生じます。
まず、職種・業務内容を限定する明示または黙示の合意があるかを確認します。限定合意がある場合、その範囲を超える配置転換には原則として本人の同意が必要です。限定合意がない場合でも、配転権限の根拠、業務上の必要性、不当な目的、本人が受ける不利益等から有効性を判断します。
滋賀県社会福祉協議会事件(最二小判令和6年4月26日)は、職種・業務内容を特定のものに限定する合意がある場合、使用者は本人の同意なく限定範囲を超える配転を命じる権限を有しないと示しました。職種限定合意がない場合は、東亜ペイント事件(最判昭和61年7月14日)に照らし、業務上の必要性、不当な動機・目的、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益等から権利濫用を判断します。
1回の無断欠勤だけで直ちに懲戒解雇や損害賠償が認められるとは限りません。安否・理由・故意過失・過去の指導歴・顧客への影響を確認し、就業規則に基づき相当な処分を検討します。損害賠償は実損害と因果関係を個別に確認する必要があり、損害が生じたからといって労働者へ全額を当然に請求できるわけではありません。
労働契約法第15条・第16条により、懲戒処分や解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。 労働基準法第16条は、あらかじめ違約金や損害賠償額を定めることを禁止しています。 実損害の請求を検討できる場合でも、事業の性格、労働者の業務内容・過失の程度、会社側の損失防止措置等を踏まえ、損害の公平な分担という観点から信義則上請求範囲が制限されることがあります(茨城石炭商事事件・最判昭和51年7月8日)。また、会社が損害額を賃金から一方的に控除することは、同法第24条第1項の賃金全額払いの原則との関係で問題となります。 また、「労働者の責に帰すべき事由」を理由に30日前予告も解雇予告手当も行わず即時解雇する場合には、同法第20条第1項ただし書・第3項により所轄労働基準監督署長の認定が必要です。 行政上、2週間以上の正当な理由のない無断欠勤等が例示されていますが、1回の無断欠勤が直ちに認定対象となるわけではありません。
恒常的な人手不足や繁忙期であることだけを理由に、年次有給休暇を拒否することはできません。事業の正常な運営を妨げる具体的事情があり、代替要員確保等を検討してもなお困難な場合に限り、別の時季へ変更できることがあります。
労働基準法第39条第5項により、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、使用者は年次有給休暇を別の時季へ変更できます。弘前電報電話局事件(最二小判昭和62年7月10日)は、勤務割による勤務体制の事業場でも、使用者が代替勤務者の配置について通常の配慮をしなかったために代替者を配置できなかった場合は、時季変更の要件を満たさないと判断しました。
早めの申請を協力事項として定めることはできますが、申請期限を過ぎたことだけで有休を無効にはできません。繁忙期は希望を早期に収集し、応援要員、管理者対応、特別出勤手当等を組み合わせて調整してください。
まず「自宅から就業場所への通勤に対する手当」と「勤務中の業務移動に要する実費」と「私有車を業務利用させることへの車両手当」を分けて設計します。マイカー通勤手当に一律の法定支給単価はなく、税法上の非課税限度額も会社が支給すべき最低額ではありません。
国税庁は、マイカー等による通勤手当について片道通勤距離に応じた非課税限度額を定めています。 2026年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から、片道65km以上の区分が細分化され、一定の要件を満たす駐車場等の料金相当額は月5,000円を上限に非課税限度額へ加算できる制度が適用されています。なお、この駐車場等は勤務場所の周辺または通勤に利用する駅・停留所等の周辺にあるものが対象で、自宅付近の駐車場等は加算対象外です。 一方、労働基準法上は、通勤手当は原則として割増賃金の算定基礎から除外できますが、名称ではなく実質で判断されます。 通勤距離や実費と無関係に一律支給するなど、実質が通勤手当といえないものは算定基礎へ入る場合があります。 さらに社会保険では、給与規程等に基づき支給する通勤手当は原則として「報酬」に含まれ、標準報酬月額の算定対象となります。 就業規則の作成義務がある事業場で通勤手当等の賃金制度を設ける場合は、労働基準法第89条に沿って支給条件・計算方法等を就業規則又は賃金規程に定めます。
指導教育責任者という資格・選任だけで管理監督者になることはありません。職務権限、経営への関与、勤務時間の裁量、待遇等を実態に即して総合判断します。
労働基準法第41条第2号の管理監督者は、名称ではなく、経営者と一体的な立場にあるか、重要な権限と責任を有するか、勤務態様に裁量があるか、地位に見合う待遇か等を総合的に判断します。 管理監督者であっても、年次有給休暇の規定は適用され、深夜業に関する労働基準法第37条の適用も排除されません。22時から翌5時に労働させた場合は原則として深夜割増相当額が必要です。ただし、労働協約・就業規則その他によって、深夜割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合は、同じ深夜割増を別建てで重ねて支払う必要はないとする行政解釈があります。 また、労働安全衛生法第66条の8の3に基づく「労働時間の状況」の把握は、管理監督者を含む労働者について健康確保の観点から必要です。
現場シフトへ常時組み込まれ、出退勤を会社に指定され、人事・労務上の権限も限定されている場合は、管理監督者性を慎重に判断してください。仮に管理監督者に該当しても、深夜割増、年次有給休暇、健康確保のための労働時間の状況把握まで不要になるわけではありません。
取締役であっても、代表者等の指揮監督下で従業員として働く実態があれば、その従業員業務について労働法上の「労働者」と認められる場合があります。役員職務の対価と従業員職務の賃金を区分する設計もあり得ますが、労働法上の労働者性と、法人税法上の「使用人兼務役員」は別の判定です。税務・労働保険・社会保険をそれぞれ確認してください。
労働基準法第9条により、取締役であっても代表取締役等の指揮監督の下で労働に従事し、その対価として賃金を得ている実態があれば、その部分について労働者性が認められる場合があります。 雇用保険では取締役は原則として被保険者となりませんが、同時に従業員としての身分を有し、就労実態・賃金・服務等から労働者としての性格が強い場合には例外的に被保険者となり得ます。 実務上は、管轄ハローワークで「兼務役員雇用実態証明書」等により確認します。 なお、労働基準法、雇用保険、労災保険、社会保険、税務では判断枠組みが同一ではありません。特に法人税法上は、代表取締役のほか、副社長・専務・常務その他これらに準ずる職制上の地位にある役員等は「使用人兼務役員」になれないとされています。一つの制度での結論を他制度へ機械的に流用しないことが重要です。
役員職務と従業員職務、権限、勤務時間、役員報酬・従業員賃金の算定根拠を分け、必要な会社法上の決議、賃金台帳、勤怠記録を整備します。雇用保険は兼務役員雇用実態証明書等によりハローワークへ確認し、社会保険は年金事務所、法人税上の役員給与・使用人兼務役員の取扱いは税理士・税務署へ確認してください。
会社が受講を指示した、または受講しなければ担当業務に就けないなど事実上参加を義務付けている場合、試験・講習時間は労働時間です。自由参加で業務上の強制がない場合は、労働時間に当たらないことがあります。
厚生労働省は、業務上義務付けられた研修・教育訓練や、使用者の指示による業務上必要な学習時間を労働時間として扱う考え方を示しています。会社が年次有給休暇の取得日を一方的に指定して講習へ充てることもできません。
受講時間、移動時間の拘束実態、受験料・交通費、休日受講時の振替・割増等をあらかじめ定めます。支払う賃金は、実際の労働時間と賃金規程に基づき計算してください。
会社が受講を命じた講習は労働時間として扱い、その後の書類作成・巡察と通算します。ただし、割増賃金が発生する時間は、通常の1日8時間・週40時間制か、適法な変形労働時間制を採用しているかによって異なります。
使用者の指示による講習と実作業は、いずれも労働時間として記録します。通常の労働時間制では1日8時間または週40時間を超えた部分が法定時間外労働となります。変形労働時間制では、あらかじめ特定した労働時間と制度要件に沿って判定します。
「指導教育責任者」の資格を取得したからといって残業代が免除されるわけではありません。講習日は原則そのまま帰宅させる運用が安全です。
資格、配置可能業務、技能、責任、勤務実績等の評価基準を明確にし、賃金差の根拠を社内で一貫して説明できる状態にします。なお、パートタイム・有期雇用労働法の「同一労働同一賃金」が直接問題となるのは、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との待遇差です。通常の労働者同士の賃金差まで一律同額にする制度ではありません。
賃金の決定・計算方法は就業規則の必要記載事項です。 短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との待遇差については、待遇ごとに、その性質・目的に照らして、職務内容、職務内容・配置変更の範囲、その他の事情のうち適切と認められるものを考慮し、不合理と認められる相違を設けてはなりません。 2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働法第6条第1項に基づく雇入れ時(労働契約の更新時を含む)の明示事項に、 同法第14条第2項による「通常の労働者との待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨」が追加されました。 労働契約の更新時も対象です。明示義務違反は同法第31条の過料の対象となり得ます。 同日から改正同一労働同一賃金ガイドライン等も適用されています。
4月と7月それぞれの労働契約上の所定労働時間・日数で加入要件を判定します。7月に恒常的な勤務条件の変更があり、その時点で要件を満たした場合は、原則として変更日から資格取得手続を行います。
雇用保険は原則として週所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合に対象となり、資格取得届は資格取得日の属する月の翌月10日までです。健康保険・厚生年金保険は、通常の労働者の所定労働時間・所定労働日数の4分の3以上であるか、4分の3未満の場合は短時間労働者の適用要件で判断します。2026年10月15日時点では、短時間労働者について原則として週所定労働時間20時間以上、2か月を超える雇用見込み、学生でないこと等を確認し、企業規模要件は2027年9月まで原則51人以上です。資格取得届は原則として事実発生から5日以内です。
2026年10月1日に、短時間労働者の社会保険における月額8.8万円以上という賃金要件は原則として撤廃されました。ただし、最低賃金法第7条の減額特例許可を受け、所定内賃金が月額8.8万円未満となる特定減額特例対象者は原則として加入対象外で、本人の申出により加入できる取扱いがあります。さらに2028年10月1日から、雇用保険の週所定労働時間要件が20時間以上から10時間以上へ引き下げられる予定です。警備業では短時間シフトの加入対象が広がるため、契約時間、学生該当性、雇用見込み、事業所規模を定期的に確認してください。
現任教育は「現に警備業務に従事させている警備員」に対して年度ごとに行う制度です。長期休業者について、休業したことだけを理由とする一律の免除や、逆に未実施分を必ず復職前に全時間補充するという一般ルールは、公表されている警察庁資料からは確認できません。休業期間、当該年度の従事状況、資格・従事区分、既実施時間を整理し、判断が必要な場合は警備業務へ復帰させる前に所轄警察署へ確認してください。
警備業法第21条第2項は、警備業者に警備員への教育・指導監督を義務付けています。 現任教育の時間数は警備業法施行規則第38条第5項に定められており、一般の警備員は毎年度10時間以上、 資格・従事する警備業務の区分等によっては業務別教育6時間以上となる場合や免除される場合があります。 警察庁資料は、現任教育を「現に警備業務に従事させている警備員」に対する教育として整理しています。したがって、長期休業者については「半年休んだから自動免除」「復職時に必ず一律10時間」と決めつけず、その者の当該年度の警備業務への従事状況、資格、従事区分、既実施時間を整理して取扱いを確認します。
休業期間と当該年度の警備業務への従事状況を社内で確認できるようにし、所轄確認が必要な場合は確認日時・担当部署・回答要旨を記録します。教育を実施した場合は、警備業法施行規則第66条第1項第6号の「教育実施記録」に実施年月日、内容、方法、時間数、実施者・対象警備員等の法定事項を記録します。教育計画書・教育実施記録は、当該年度終了後もその終了日から2年間保存します。
「アルバイトだから不要」ではありません。深夜業を含む特定業務に常時従事し、かつ「常時使用する短時間労働者」に該当する場合は、当該業務への配置替え時および6か月以内ごとに1回、健康診断が必要です。
労働安全衛生規則第45条は、深夜業等の特定業務に常時従事する労働者について、当該業務への配置替え時および6か月以内ごとに1回の健康診断を定めています。 「深夜業を含む業務」は、業務の常態として22時から翌5時までの深夜業を1週1回以上または1月4回以上行う業務とされています。 そのうえで、短時間労働者が法定健診の対象となる「常時使用する短時間労働者」に該当するかを判定します。 特定業務従事者健診では、原則として6か月以上使用されることが予定され、または更新により6か月以上使用され、 かつ週の労働時間数が同種の通常労働者の週所定労働時間数の4分の3以上である者が対象です。 4分の3未満でも、おおむね2分の1以上であれば一般健康診断を実施することが望ましいとされています。
夜勤者を一覧化し、まず「深夜業が週1回以上または月4回以上の常態となっているか」を確認し、 次に契約期間・更新状況と、通常労働者に対する週労働時間の4分の3基準を確認してください。 夜勤回数だけ、または短時間労働者という属性だけで結論を出さず、2段階で判定するのが実務上分かりやすい方法です。
社会保険料等の負担を減らす目的で、従来どおり会社の指揮命令下で働く警備員を契約書だけ「業務委託」に変更しても、労働者性は契約名ではなく実態で判断されます。また、警備業法上の「警備員」は雇用契約に基づく者だけに限られないため、労働法上の労働者性と警備業法上の警備員該当性は分けて確認する必要があります。
労働者性は、仕事を断る自由、業務遂行上の指揮監督、勤務場所・時間の拘束、代替性、報酬の労務対償性、機材負担、事業者性等を総合して判断します。 契約書の名称や本人の同意だけでは決まりません。 警察庁の解釈運用基準では、警備業法第2条第4項の「警備員」について、警備業者との雇用契約に基づく者のほか、雇用契約以外の契約に基づいて警備業務に従事する者も含み得るとされ、警備業者からの指揮監督、労務提供、対価の受領等を総合して判断するとされています。したがって「業務委託にしたから警備業者の警備員ではない」とは限りません。 一方、その個人が警備会社の従業者としてではなく、自ら独立して「他人の需要に応じて」警備業務を営業として受託するのであれば、警備業法第4条の認定を要する警備業者に当たるかという別の問題が生じます。名義貸し等の構造にも注意が必要です。 真に独立した事業者との取引では、2024年11月1日施行のフリーランス法の適用関係も別途確認が必要です。
既存の警備員を保険料負担だけを目的に業務委託へ切り替えることは避けてください。検討する場合は、①労働法・社会保険上の労働者性、②警備業法上は自社の「警備員」として扱われるのか、③受託者自身が独立した警備業者として認定を要するのか、を分けて整理します。必要に応じて労働基準監督署・年金事務所・ハローワークと、警備業法については所轄警察署等へ確認してください。真に独立した事業者との取引であればフリーランス法の適用関係も確認します。
警備業法施行規則第38条には、最近3年間に警備業務へ従事した期間が通算1年以上である「警備業務経験者」等について、新任教育の教育時間数を短縮する区分があります。ただし、従事させようとする警備業務と過去の経験との関係によって業務別教育の取扱いが変わるため、単に「警備会社に1年以上在籍していた」だけで短縮を決めないでください。
警備業法第21条第2項に基づく警備員教育の時間・方法は、警備業法施行規則第38条で区分されています。同条第4項の「警備業務経験者」は、最近3年間に警備業務に従事した期間が通算して1年以上である警備員として整理されています。過去に従事していた警備業務と同じ警備業務へ就かせる場合と、それ以外の警備業務へ就かせる場合では業務別教育の時間が異なります。また、検定合格証明書や指導教育責任者資格者証の有無によって免除・時間数がさらに変わります。
自宅からその日の就業場所である警備現場へ、合理的な経路・方法で直行している途中の事故は、原則として通勤災害の枠組みで判断されます。ただし、移動そのものが会社の具体的な業務命令に基づき「業務の性質」を有する場合は、業務災害となることがあります。
労働者災害補償保険法第7条は、就業に関し住居と就業場所との間を合理的な経路・方法で往復する移動を「通勤」とし、業務の性質を有するものを除いています。厚生労働省は、自動車も通常用いられる交通方法として合理的な方法になり得るとしています。会社がマイカー利用を許可していたかどうかは、それだけで労災区分を決める要件ではありません。
事故時は、出発地・目的地・予定勤務現場・事故場所・経路・寄り道の有無・会社からの指示内容・資機材運搬や送迎の有無を記録してください。労災認定は労働基準監督署が具体的事実に基づき判断します。
送迎事故の取扱いは、「誰が」「誰の指示で」「何の目的で」送迎していたかによって変わります。会社が送迎を指示・組織化している場合は、単なる私的な相乗りより業務性が強くなります。労災・労働時間・任意保険・民事責任を分けて確認してください。
労災上は労働者災害補償保険法第7条により、通常の通勤か、業務の性質を有する移動かを具体的に判断します。また、事故の民事責任については自動車損害賠償保障法第3条の運行供用者責任や民法第715条の使用者責任等が問題となり得ますが、成立の有無は車両の使用・支配・利益、会社の指示、事故状況等による個別判断です。
「6か月以内に退職したら、それまで支給した入社祝金を一律返還する」という設計は、労働基準法第16条の賠償予定の禁止との関係で慎重な検討が必要です。すでに確定・支給した金員を退職時の賃金から会社が一方的に控除することも避けてください。早期定着を条件にするなら、原則として条件達成後に支給する設計が安全です。
労働基準法第16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり損害賠償額を予定したりする契約を禁止しています。また、第17条は労働することを条件とする前貸債権と賃金との相殺を禁止し、第24条は賃金全額払いを原則としています。入社祝金が賃金に当たるか、前払い金が独立した貸付といえるか、返還条件が退職の自由を不当に拘束するかは、名称ではなく制度の実態から判断されます。
「入社6か月経過時点で在籍している者に○円支給」など、支給条件が成立した後に支払う制度の方が明確です。どうしても前払い制度を設ける場合は、支給目的、賃金性、貸付の独立性、返還条件、退職時の精算方法を個別に検討してください。
他社で育児休業給付を受けている人が別の事業所で一時的に就業したからといって、直ちに給付が不支給になるわけではありません。ただし、その別事業所での就業日数・時間も支給要件の判定に含まれます。採用する警備会社は自社での就業実績を正確に記録し、本人には本業先・ハローワークへの申告に必要な情報を正確に伝える必要があります。
育児休業給付金は、1支給単位期間の就業日数が10日以下、10日を超える場合は就業時間が80時間以下であることが要件です。厚生労働省は、この就業日数・時間には在職中の事業所以外で就業した分も含むとしています。一方、雇用保険の被保険者となっていない事業所から支払われた賃金は、育児休業期間を対象として支払われた賃金の算定には含まれないとされています。
30分の初回相談では、会社規模、勤務形態、現在の就業規則・賃金規程・雇用契約書・勤務表等を伺い、 自社の労務課題と優先して確認すべき事項を整理します。条文精査や具体的な修正文案の作成は有料サービスです。
ご相談内容は社会保険労務士法に基づく守秘義務の対象です。LINEは日程調整や簡単な連絡にご利用ください。従業員の個人情報、健康情報、懲戒、ハラスメント、欠格事由等を含む相談は、メールまたは当事務所が指定する方法でお送りください。