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本コラムのデータは警察庁「令和6年における警備業の概況」(令和7年公表)および
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」に基づいています。
数値はすべて令和6年12月末現在(特記なき場合)。
全国警備員数
587,848人
令和6年12月末
前年比+2,980人(+0.5%)
警備業者数
10,811業者
令和6年12月末
前年比+137業者(+1.3%)
行政処分件数
135件
令和6年中
指示133件・営業停止2件
令和6年12月末時点の全国警備員数は587,848人で、前年比で約3,000人増加しました。
一時期の減少傾向から持ち直し、微増基調が続いています。
一方で高齢化は引き続き進行しており、業界全体の構造的な課題として浮かび上がっています。
出典:警察庁生活安全局生活安全企画課「令和6年における警備業の概況」(令和7年公表)
警備業の最大の構造的課題が高齢化です。
60歳以上の警備員が全体の47.0%を占め、
特に70歳以上が20.9%と突出した割合を示しています。
一方で30歳未満はわずか10.4%にとどまり、若年層の定着が長年の課題として残っています。
⚠ 高齢化率47%が意味すること
60歳以上の警備員数は276,030人(47.0%)。
うち70歳以上は122,919人(20.9%)と、単一の年齢グループで最多となっています。
今後10年で現在の60代警備員が引退年齢に差しかかるとき、
補充できる若年層が育っていなければ、業界全体の担い手不足は一層深刻になります。
中小警備会社ほど、今から若手採用と定着に投資することが喫緊の課題です。
女性警備員比率
7.3%
43,077人。前年比でほぼ横ばい。
業界全体の多様化余地は大きい
臨時雇用比率
8.8%
常用536,220人 / 臨時51,628人
常用雇用比率91.2%で比較的安定
女性警備員は43,077人(7.3%)。年齢別に見ると、
30歳未満の女性比率が18.9%と最も高く、
若い世代では女性が一定数参入していることがわかります。
一方、60歳以上になるにつれて女性比率は急速に低下しており(65〜69歳:3.6%)、
女性が長期にわたって働き続けられる環境整備が課題です。
📌 雇用形態の安定性
常用雇用比率91.2%は全産業平均と比較しても高水準です。
「シフト制・不安定」というイメージとは異なり、
警備業の雇用形態は比較的安定しています。
この強みを就業規則・福利厚生の整備と組み合わせることで、
採用広報における訴求力が高まります。
90.2%
警備業者の9割以上が
従業員100人未満の中小企業
1万811業者のうち9,753業者が従業員100人未満。
うち5人以下の零細業者も2,853業者(26.4%)存在します。
大手は首都圏・政令指定都市に集中し、地方は中小が主体となっており、
労務管理体制・教育水準に地域差が生じやすい構造です。
📌 84.5%が1営業所のみの単店舗経営
営業所を1か所のみ設けている業者が9,138業者(84.5%)を占めます。
本社機能と現場機能が一体化した小規模事業者が多いことは、
就業規則・労務管理のノウハウ不足にもつながりやすい環境です。
社労士顧問を活用することで、こうした体制不備のリスクをカバーできます。
在職年数の分布を見ると、3年以上の在職者が61.6%を占めており、
一般的なイメージより定着率は高い状況です。
1年未満の離職が17.6%(約10万人)存在することも事実で、
入職後1〜2年が定着の山場となっています。
特に女性の10年以上在職者比率は4.4%にとどまり、
男性(29.6%より高い層が中心)との差が顕著です。
✅ 高齢者でも長く続けやすい職場に
60代以降の警備員が多い背景には、
「体力的に続けられる間は働ける」という職場の柔軟性もあります。
シフト調整の自由度、夜勤免除制度、軽警備業務へのシフト転換など、
年齢に応じた働き方の設計が定着率向上につながります。
業務区分ごとの警備業者の構成比(複数回答のため合計100%超)は以下のとおりです。
1号警備(施設・機械)
施設常駐62.7%・巡回26.6%・保安14.2%・機械5.0%。施設警備が業界の主力。
2号警備(交通誘導・雑踏)
交通誘導76.5%・雑踏47.5%。最も広範な業務区分。天候リスク・現場単独対応が多い。
3号警備(輸送)
現金輸送4.6%・その他貴重品3.5%。特殊性が高く参入業者は限定的。
4号警備(身辺)
緊急通報サービス2.2%・その他5.2%。ボディガード・要人警護が中心。
📌 2号警備が最多の理由と課題
2号警備(交通誘導・雑踏)の業者比率が81.4%と最多なのは、
公共工事・建設現場・イベントが常時発生する日本社会の特性を反映しています。
一方で天候・現場環境による業務リスク・単独作業が多く、
労働災害や顧客トラブルが発生しやすい区分でもあります。
2号警備特有のリスク管理(現場対応マニュアル・報告体制)の整備が
労務管理上の重要課題です。
平均年収(全体)
354万円
平均年齢52.9歳
勤続年数10.4年
月額給与(所定内)
268,300円
年間賞与:318,500円
超過労働:19時間/月
所定労働時間
166時間/月
超過19時間を含めると
実態は185時間超の現場も
男性警備員 平均年収
364.2万円
全体平均を上回る
女性警備員 平均年収
274.8万円
男性との差:約89万円
夜勤・管理職比率の差が主因
警備員の平均年収354万円(令和6年)は前年の353.8万円からほぼ横ばいです。
全産業平均(約460万円台)と比較して100万円以上低い水準ですが、
夜勤・割増賃金による上乗せがある点、また平均年齢が52.9歳と
他業種より高い点を踏まえると、単純比較では実態を見誤る面もあります。
⚠ 「責任の重さ」に見合う待遇か
警備員は法的な根拠(警備業法)のもと、人命・財産の保護に関わる業務を担います。
にもかかわらず、賃金水準は全産業平均を大きく下回っています。
2026年度以降、最低賃金の継続的な引上げによって基本給の見直しが急務になる企業も増えます。
固定残業代の設計・賃金規程の整備は、今のうちに確認しておく必要があります。
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種別賃金データ(警備員)
※統計のサンプル数が少ないため、実態との乖離が生じる可能性があります。参考値としてご活用ください。
5.72倍
保安職の有効求人倍率
(2025年5月・厚労省職業安定局統計)
全職業平均1.22倍と比べると約4.7倍の開き。
これは求職者1人に対して5〜6社が求人を出している計算です。
「応募が来ない」のは当然の市場環境といえます。
有効求人倍率5.72倍という数字は、警備業が圧倒的な売り手市場であることを示しています。
この環境下では、求人票の「見せ方」と「労働条件の透明性」が採用力を大きく左右します。
①
労働条件の可視化が最重要
「日給○○円」だけの求人では選ばれません。
月収モデル(割増賃金・夜勤手当・資格手当込み)を具体的に示すこと、
有給休暇の取得実績・育休取得実績を開示することが応募率を左右します。
②
就業規則・雇用契約書の整備が採用ブランドに直結
求人票に「就業規則完備・社保完備」と書けること自体が信頼の証明です。
福島県次世代育成支援企業認証マークを求人票に掲載できると、
さらに訴求力が高まります。
③
シニア人材・女性の活躍推進が採用母集団を広げる
20〜30代の採用競争に勝つことが難しい中小警備会社は、
60〜70代のシニア・子育て後の女性・副業希望者を積極的に取り込む設計が有効です。
柔軟なシフト設計・短時間勤務制度の整備が鍵になります。
9つのデータを通じて見えてくるのは、
警備業が「人が足りない」「給与が低い」「高齢化が進む」という課題を抱える一方で、
「改善すれば大きく差別化できる余地がある業界」でもあるということです。
👴
高齢化率
47.0%
60歳以上が約半数。シニア雇用の工夫と若手育成が急務
👩
女性比率
7.3%
女性活躍の余地が大きい。環境整備で採用母集団が広がる
💴
平均年収
354万円
全産業平均を大幅に下回る。責任に見合う待遇設計が課題
📋
有効求人倍率
5.72倍
採用競争は極めて厳しい。労働条件の透明化が採用力を左右する
🏢
中小企業比率
90.2%
100人未満が9割。労務管理の専門家活用が生存戦略になる
📅
3年以上在職率
61.6%
定着率改善の余地あり。入職後1〜2年が定着の山場
✅ 数字が示す「一歩踏み込む」価値
採用難・離職率の高さは業界全体の共通課題です。
だからこそ、他社より一歩踏み込んで改善を示せる会社は、
それだけで強い競争優位を持てます。
勤務シフトの工夫・休憩環境の整備・待遇の透明化を積み重ねることで、
「人が集まる会社」「安心して長く勤められる会社」に必ず近づきます。
【データ出典】警察庁生活安全局生活安全企画課「令和6年における警備業の概況」(令和7年公表)/
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(警備員)/
厚生労働省職業安定局「職業別有効求人倍率(令和7年5月)」
※賃金構造基本統計調査の警備員データはサンプル数が限定的なため、実態との乖離が生じる場合があります。
参考値としてご活用ください。
※本コラムは情報提供を目的としており、個別の経営判断を保証するものではありません。
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